―アトリビュート(鬼に金棒、ゼウスに雷)―


鬼の金棒、天狗の羽団扇など持ち主を想像させる特別の存在(アトリビュート)がありますが、古代ギリシャでも同様のものが存在します。 持ち主がいなくとも、そのもの自体で持ち主をイメージさせる存在が多くあります。他の項目でもその都度触れていますが、ここではひとまとめにして整理してみます。

アトリビュート(Attribute):(人・地位などを象徴する)付き物、持ち物


●持ち主/ 通常の容姿など/ アトリビュート

●ゼウスとポセイドン
鬚を蓄える老神
ゼウス:雷、鷲(支配する天空のシンボル)王笏、玉座(全能の神のシンボル)月桂冠


ポセイドン:トライデント(三叉の鉾)、海草冠


ゼウスとポセイドンはアトリビュートが無いと区別がつきにくく、
アテネ国立博物館の立像 も一往ポセイドン像ということになっていますが、
アトリビュートが欠落しているので、どちらの神か確定されていません。


●ヘラ
ステファノスを着用している女神
ステファノス※
※Stephanos(尊敬を象徴するヘアバンドで、花模様がある)


●アテナ
兜を着用している女神(槍と盾で武装することが多い、槍の代わりに雷を持つこともある)
梟(ふくろう)、オリーブ


●アポロン
月桂冠を被る若い神(髪が長いので女性と間違えられる場合があります)
月桂冠、月桂樹(恋したダフネが月桂樹になってしまったことを悲しみ自分の聖樹にしました)
リラ:竪琴(音楽の神としてのシンボル)
オンファロス(へそ石)※1、 弓矢、 トリポッド(三脚台)※2
オンファロス、弓矢、トリポッドは神託のための瞑想に使われるものか?

※1:”村上みどり ギリシャとエーゲ海紀行”に勝手にリンクさせていただきました。
※2:”きむらかずしのホームページ”FAQ 翻訳プロジェクトに勝手にリンクさせていただきました。

●アルテミス
箙(えびら)を背負う女神
鹿、弓矢、箙(矢を入れる筒)


●デメーテル
麦穂冠を被る女神
麦穂冠、麦の穂(豊穣のシンボル)


●二ケ
勝利を祝福する有翼の女神
女神アテナの従属神であるがゼウスに従属することもある
リース(月桂冠)、


●ヘラクレス
突起のある棍棒を持ち、戦利品のライオンの皮を身に着ける勇者
(ヘラクレスは青年、壮年のどちらでも表される場合があります)
ライオンの(頭)皮、棍棒


●ディオニソス
蔦の冠を被り葡萄の房を手にする
(ディオニソスも青年、壮年のどちらでも表される場合がある)
蔦の冠、葡萄の房、ウイキョウの茎でできた杖


●ティケ
城塞冠、コーニュコーピエ※、船の舵
※Cornucopia:ゼウスに授乳したとされる山羊の角(豊穣のシンボル)




●ヘレニズム期以降の王
ディアデム※(鉢巻き状の帯)
※Diadem:王権の象徴で頭の後ろで結び余った部分を下に垂らしている。


ヘレニズム期以降の王達は例外なくこのディアデムを巻いています。
バクトリアのエウクラティデス1世もよく見ると頭の後ろに垂らした部分で、ディアデムをヘルメットの下に巻いているのが分かります。




  
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