江戸と明治の手仕事



ゴッホが夢見た浮世絵の国は、今から見れば必ずしも桃源郷のような世界ではなかったでしょうが、夢のような品々をつくり出す不思議の国に違いなかったでしょう。開国と同時に多くの優れた品々が海外に流出していった事からも、その優秀性がうなずけます。 その手仕事は武士や貴族達の高貴で精緻なものから、庶民が求めた粋や洒落の世界を形にしたものまで多様で、レベルの高いものでした。 量産品が大勢を占める現代から見れば生産性を度外視した『良い仕事』に、良き時代を感じます。


右の絵は幕末に来日した西洋人が目にした日常の一齣:雨中往来図
(単色の銅版画にフォトショップで着色してみました)


古平戸焼【子犬の置物】
精巧で上手な作で毛並みまできれいに表現されています。さぞや裕福な家の持物だったのでは、、と想像させられます。


煙草入れの前金 寝布袋【片切彫:宗 王民】(王民は一文字)
繊細かつ大胆な鑿使いは名工の名に恥じない仕事ぶりです。


ミニチュアの印籠【三色変り金】/根付 達磨【片切彫:碧?廣刀】
1円玉と比べるとその小ささが分かります。何を入れて使ったのでしょうか。


留金具【番の丹頂鶴】
何の用途か不明であるが作の良い留金具。幕末-明治初頃の仕事でしょう。


鶴を画題にした鍔二点【鶴丸:無銘】/【巣篭り鶴:無銘】
鶴丸は肥後、巣篭り鶴は京あたりでしょうか。高い装飾性の中にも簡潔さや気品が感じられます。