―コインの評価―

コインの評価にはいくつかの要素があります。 以下の4つの項目について概略説明します。

●状態
長く流通し摩耗したものより、製造時の状態に近い方が評価は高くなります。 またその評価の度合は比例的なものでなく級数的で、未使用に近いものは通常の状態のものに比べ3倍にも4倍にもなってしまいます。 以下に一般的な状態表示を示します。
・FDC (Fleur de Coin) 製造時のままの状態
・UNC (Uncerculated) 未使用
・EF (Extremely fine) 極美品
・VF (Very fine) 美品
・F (Fine) 佳品 
・G (Good) 普通品 
それぞれの状態の中間的なものを表すのに(+:プラス、-:マイマス)や(Good、Near)などを使用するのが一般的です。
FDCについては古代コインではありえません。 しかしながら一部ディーラーによっては用いたりするので一応あげておきますが、現代コインでも完全無欠なものをさす表現なので古代コインについてはオーバーグレードといわざるをえません。 またFineやGoodというと一般的には良いイメージでありますが、状態表示でのそれは良いことを表わしません。 一般的にコレクションに向くのは少なくとも Fine 以上で、Good 以下は資料的価値があるもの以外ほとんどコレクションには不向きです。 また状態の評価は絶対的なものではないので、ディーラーによっては評価が甘くなったりする場合がありますので注意を要します。
・摩耗以外のダメージ:スクラッチ(掻き傷)、剥離
・製造時のミス:二重打ち、弱打ち、オフセンター
などは評価を落とす要因です。

オフセンターとは文字通りセンターに刻印されているべき図柄が、センターからズレてしまっている状態をいいます。 重要な部分が欠けてしまったものは評価を下げます。

テストカットはコインに切れ目を入れることで地金の真贋を試す方法で、当時の両替商が行った判別の方法の1つです。キリ状の尖ったもので試金するものをテストパンチといいます。 図柄を妨げるようなものは評価を著しく下げます。

●稀少性
古代ギリシャコイン自体その存在数が少ないものですが、その中でもさらに製造数が少ないか、製造数が多くても残存数が少ないものは評価が高くなります。


●スタイル(アートレベル)
近代貨と違い打刻の為の刻印は1つ1つ手で彫られ、彫り手の優劣がそのままコインのスタイルの差となります。  当然スタイルの良いものは評価が高くなります。

このトラキアのリュシマコスが発行した4ドラクマ貨の例は極端ですが、刻印が手彫りのため多かれ少なかれスタイルの優劣があるもので、特別なものを除いてスタイルの良いものは評価が高くなります。


●人気
クレオパトラやアレクサドロス大王、ハンニバルなど有名なコインは人気があり、評価が高くなります。(アレクサドロス大王のコインは存在数が多いので、人気はありますが割安です)





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