SOUTHERN ITARY

―イタリア(南部)―

ギリシャ人がイタリアに植民したのは、本国の繁栄とともに食料や鉱物資源が不足したのが主な理由とされています。ともあれこの植民活動によりギリシャ文化がイタリアにもたらされ、エトルリアやローマが洗練されていくことになります。しかし後にギリシャがローマにより征服されることになるのは、なんとも皮肉なことです。しかしそんなローマも征服したギリシャの文化には憧れと尊敬の念を抱き続けました。「国破れて文化あり」ってところでしょうか、、

カンパニア地方

ネアポリス
ネアポリスはロードス人により極めて初期に創建された植民市です。

ニンフ／人頭牛に冠を授ける女神ニケ
ジドラクマ銀貨　450-340 B.C.

ルカニア地方

メタポンティオン
極めて初期にアカイア人により建設された植民市。紀元前６世の初めにシバリスにより再建されました。

メタポンティオン最初期のステーター銀貨、他の初期イタリアコインと同様に裏面刻印は表面に対応した凸型によるもの。
ステーター銀貨　530-510 B.C.

ヘルメット姿の男性はメタポンティオンを建国したとされる伝説上の人物リュッキポス。
ジステーター又はテトラドラクマ銀貨　350-300 B.C.

ステーター銀貨の裏面はメタポンティオンのシンボルである麦の穂が表されていますが表面はここにあげたサンプルの他にもゼウスやヘラクレスなど多士済々で非常にバリエーション豊かです。
ステーター銀貨　350-300 B.C.

ヘラクレイア
タラスとトゥリオイの共同により443 B.C. に建設された植民市。

アッティカ式ヘルメトを被る女神アテナ／ヘラクレス（いろいろバリエーションはありますが、表裏の組み合わせは変わりません）
ジドラクマ銀貨　450-350 B.C.

ヴェリア
南イタリアにおける他のギリシャ植民市と異なりルカニア人に攻略されず、275 B.C. にローマの同盟国になりました。

アッティカ式ヘルメトを被る女神アテナ／ライオン（いろいろバリエーションはありますが、表裏の組み合わせは変わりません）
ジドラクマ銀貨　450-350 B.C.

シバリス
アカイア人により720 B.C. に建設された植民市。当時イタリアにおける最も重要で富めるギリシャ植民市でしたが、510 B.C. にクロトンにより破壊されました。

シバリス最初期のステーター銀貨、他の初期イタリアコインと同様に裏面刻印は表面に対応した凸型によるもの。
ステーター銀貨　530-510 B.C.

トゥリオイ
443 B.C. にアテネによりシバリスの故地に隣接した場所に建設された植民市、当初ニューシバリスと呼んでいましたが後にトゥリオイと変えられました。

アッティカ式ヘルメトを被る女神アテナ／怒る牡牛
ジステーター銀貨　350-281 B.C.

ステーター銀貨　350-281 B.C.

カラブリア地方

タラス（タレンツム）
タラスは紀元前５～４世紀頃の南イタリアで最も重要な都市国家です。

タラスのステーターコインはバリエーションが豊かですが、ほとんど表が騎馬像で裏面がいるかに乗る神タラスの組み合わせになっています。
ステーター銀貨　３世紀後半-２世紀前半 B.C.

左のコインはレース前の情景を表現しているようです。騎手は馬のたてがみを撫ではやる気持ちを落ち着かせています、また介添え人と思われる人物が蹄に溜った泥を取り除き発走の準備をしているようです。
右のコインはレースの優勝者がゴールをした瞬間を表していると思われます。馬上の青年は女神ニケから冠を授けられているので競技に優勝したことが分かります。また介添えと思われる人物が興奮覚めやらぬ馬をなだめていることから、ゴールの瞬間を表していると思われます。（「古代オリンピックとコイン」の項目も参照して下さい）