―コインの上の神々(メジャー編)―
古代ギリシャコインのモチーフは自国の特産物や動物などがありますが、なんといっても一番は氏神ともいうべきゆかりの神々です。 ギリシャ神話の神々は大勢いますが、冥界の支配者であるハデスなど地味な神様は登場の機会に恵まれず、かわりに全能の神ゼウスや、知恵と正義と戦いの女神アテナなどは人気があり頻繁に登場します。 日本での呼び方はギリシャ語、英語(ローマ風の呼び名からの流れ)が入り乱れてごちゃごちゃの状態ですので、ちょっと主な神様の名前のおさらいをしてみましょう。
ギリシャ語 英語 (地位や性格)
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●ゼウス ジュピター (全能の神)
●ヘラ ジュノー (最高位の女神)
●ポセイドン ネプチューン (海の支配神)
●ハーデス プルート (冥界の支配神)
●デメーテル シアリーズ(ケレス)(大地の女神)
●アテナ ミネルヴァ (知恵と平和の女神)
●ディオニソス バッカス (豊穣と葡萄酒の神)
●アフロディテ ヴィーナス (愛と美の女神)
●アポロン アポロ (太陽神、予言を行う)
●アルテミス ダイアナ (月の女神、純潔の象徴)
●アレス マーズ(マルス) (戦いの神、乱暴者)
●ヘルメス マーキュリー (商業の神、ゼウスのお使い)
●ニケ ナイキ (アテナに従属する勝利の女神)
ハーデスは人気うすでコインの上には現れません。 アフロディテ、アレス、ヘルメスのコインも多くありません。 これらメジャーな神々の他に地方独自の神々も多いのですが、これらの神様達はマイナー編をご覧ください。
ゼウス
いわずとしれた全能の最高神、浮気性が珠にキズだが
そのぶん腹違いの子供も多い。
ちょっと挙げるだけでも、アテナ、ヘルメス、
アルテミス、ペルセウス、ヘラクレス、
ディオニソス、ペルセポネ、‥‥等きりがありません。
なお兄弟姉妹としては”ポセイドン、ハデス、ヘラ、
デメーテル、ヘスティアがいました。
姿は、やはり鬚づらのポセイドンと区別し難いですが
ゼウス――→月桂(柏)冠、王笏、鷲、雷
ポセイドン→海藻の冠を冠ることがある、三叉の矛
で区別できます。
A:マケドニア王国 フィリッポス2世(表面)
B:マケドニア王国 アレクサンドロス3世(裏面)
ヘラ
ゼウスと兄妹でかつ正妻という不思議な関係。
ゼウスの妻ということで女神の最高位についている。
夫が夫だけに焼きもちやきで嫉妬心が強い。
浮気はゼウスが起すのに嫉妬の対象は相手の女性(女神)や
子供に向いてしまうのは困りもので、なんとも人間臭い。
浮気がもとでできた子供ヘラクレスの難行もこれが原因。
ヘラのシンボルは花唐草の冠、孔雀など。
A:イタリー ブルッティウム地方 クロトン(表面)
ポセイドン
ゼウスの兄弟で海を支配した神
航海の守護神だが、気まぐれに嵐を起したりして船を
難破させるので、船乗りから恐れられた。
ポセイドンのシンボルはなんといっても三叉の矛
(トライデント)だ。
A:マケドニア王国 アンティゴノス.ドソン(表面)
B:マケドニア王国 デメトリオス.ポリオルケテス(裏面)
デメーテル
ゼウスの妹で大地の女神です。
豊穣の女神で農業国で人気があります。
黄泉の国の支配者である兄ハデスに、娘を妻にと
連れて行かれたことに怒り娘が黄泉の国で暮らす
ことになった。
冬には植物の実りを禁じたという。
デメーテルのシンボルは頭に被る麦の穂の冠。
娘のペルセポネーも同じ冠を被ることが多い。
イタリー メタポンティオン(表面)
アテナ
ゼウスの頭から生まれたおかげ?で知恵と正義
そして戦いの女神となりました。
御利益がありそうで大人気な彼女は最も多く登場する
神様の一人で、ゼウス、アポロンと共にベスト3です。
アテナのシンボルは知恵を表すフクロウ
ヘルメット、盾、槍などの武具があり、
また勝利の女神ニケを伴うことがあります。
A:イタリー ルカニア地方 トゥリオイ(表面)
B:エジプト王国 プトレマイオス1世(裏面)
ディオニソス
ゼウスと人間の女セメレから生まれたデイオニソスは
嫉妬深いヘラから逃れるため僻地へ送られました。
かの地で葡萄酒を発明し、それを飲んで酩酊状態で
踊り狂ういわゆる新興宗教の開祖となりました。
この宗教は特に女性の間で流行り、アレクサンダー大王の
母親オリンピアスなども深入りしすぎ、夫フィリップとの
間がおかしくなったのではないかといわれるほどです。
ディオニソスのシンボルは蔦の冠と葡萄。
A:トラキア マロネイア(表面)
B: 同上 (裏面)
アポロン
太陽の神であり、楽器の名手で音楽の神でもあります。
自尊心が高く音楽で競った笛の名手マルシュアスを
こてんぱんにやっつけ、殺してしまう激しさです。
このほか医学、数学、芸術全般に通じる万能選手。
予言も行い、アポロンの神託として有名です。
アポロンのシンボルは月桂冠と竪琴
それに弓を持っていることがあります。
A:小アジア アイオリス地方 ミリナ(表面)
B: 同上 (裏面)
アルテミス
アポロンの妹で兄が太陽の神であるのに対し
月の女神です。
アテナに憧れ純潔を誓い、水浴を覗き見た狩人の
アクタイオンを鹿に変え、猟犬に襲わせ殺してしまう。
兄妹揃ってなんとも気の荒い神様ではある。
アルテミスのシンボルは、狩猟道具の弓と矢柄
お付の動物は、猟犬や獲物の鹿。
A:小アジア イオニア地方 マグネシア(表面)
B:小アジア パンフィリア地方 ペルゲ(裏面)
ニケ
勝利の女神であり単独でも表現されるが、ご主人である
女神アテナの手の上に乗って登場することも多い。
また彫像のサモトラケのニケのように船の舳先に
乗っていることも多いようです。
ニケのシンボルとしては
背中の羽根、手に捧げ持つ月桂冠があります。
Bは主神アテナの手の上に乗っているのがニケです。
A:小アジア パンフィリア地方 シデ(裏面)
B:トラキア王国 リュシマコス(裏面)
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