―トピックス(2007)―

月いちのペースで小さな話題を掲載します。


プトレマイオス朝銅貨の凹み  2007/07/27
プトレイオス朝の銅貨の両面には、多くの場合センター付近に小さな凹みを見ることが出来ます。この凹みが何の目的で穿たれているのか、いろいろと想像してみるのですが私の中ではなかなか結論を出せずにいます。以下に現象を羅列しますので、皆さんも想像してみて下さい。 もしご存知の方がいらっしゃいましたらお便りいただけますよう、お願いいたします。
●プトレイオス朝とセレウコス朝(初期・末期を除く)の銅貨に特有の現象のようである。
●同じタイプでも、凹みは必ずあるわけではないようである。
●今回の画像はプトレマイオス4世が発行したと思われるAE36銅貨の場合凹みをセンターに旋盤を掛けたような同心円が見られるが、これは例外的でほとんどは凹みのみが存在する。(とはいえ、重要なヒントにはなりそうである)
●側面を削る為のセンターホールかとも思われるが、2005/06の月いちトピックスで示した例のような物にも存在するので一概には言えないようである。
●凹みの位置は表と裏でセンターが合っていないことがほとんどのようで、左右から挟み込んで回転させられたかは疑問である。(微妙にずれている)



左向きのヘラクレス  2007/06/30
アレクサンドロス大王のテトラドラクマ銀貨の表面は右向きのヘラクレス像ですが、この2種類は左向きになっています。鋳造地はプライスカタログによると、ペラ213/215とされている物です。 このほかにキレネに1種類が記載されておりますが、何千種類にも分類されている内の3種類と言うことは、やはり稀少品と言えるでしょう。



現代通貨に見る古代ギリシャコインの意匠(4)  2007/05/25
ギリシャ共和国の100ドラクマ黄銅貨に表されたアレクサンドロス大王の肖像は、トラキア王国で発行されたコインから意匠を借りています。 大王の肖像はコインの鋳造地により色々なバリエーションがありますが、たぶん写真のタイプに近い物を参考に作ったのではないかと思います。 なお100ドラクマ貨には下部にマケドニア王、上部に大アレクサンドロスの銘文が表示されています。



古代ギリシャ時代からモチーフをもらったコイン1  2007/04/28
現代イタリアコイン1961年の500リラ銀貨にデザインされたクァドリガの絵は、現代的解釈で4頭立ての戦車競技の模様を表したと思われるもので、古代コインの再現ではありませんが躍動感溢れるデザインと完成度で、その種のデザインでは傑出した物だと思っています。



軽装歩兵を攻撃する騎兵  2007/03/26
パイオニア王国パトラオスのテトラドラクマ銀貨の裏面には、軽装歩兵を攻撃する騎兵が刻まれています。 意外なことですが、ローマのコインと異なり古代ギリシャのコインには劇場的なシーンをデザイン化することは少なかったようで、その意味で興味深いコインと言えます。 又このコインはポピュラーな存在ですが、デザイン的な優劣が大きく稚拙なデザインのものが多いなか、優秀なデザインのサンプルではないかと思っています。シービーのカタログをお持ちの方は比べてみて下さい。(SEAR1520)



現代通貨に見る古代ギリシャコインの意匠(3)  2007/02/26
ヴィットレオ・エマヌエル3世の5c銅貨に表された麦の穂は、南イタリアのメタポンティオンで発行されたコインから意匠を借りています。イタリアの通貨なので、古代ローマ時代のコインから意匠を借りているかというと、そうではなく古代ギリシャ時代のコインから意匠を借用しているのは、やはりデザイン性に優れたからでしょう。



手乗りの女神ニケ  2007/01/29
アレクサンドロスタイプ・テトラドラクマ銀貨の裏面に表わされているゼウスが、手に乗せているのは普通鷲ですがセレウコス1世が発行した物には、ニケが乗せられている物があります。 なぜ鷲の代わりに女神ニケを自分に向けて乗せたのでしょうか。 意味的には勝利の女神ニケがゼウスを祝福していることになりますが、単なるデザイン的なバリエーションなのか、何か意図があって代えたのかは不明です。 特に少ない物ではありませんがセレウコス1世以外では、アレクサンドロスタイプでニケが乗っているタイプは無いようです、多分、、、(;^_^A




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